大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)4453 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人の上告趣意(後記)について。

第一点

一、所論船舶奪取の意思と事実については、第一審判決の挙示する船員Aの証言

記載(第一審第二回公判調書)及び第一審相被告人B、Cの各供述調書は充分な補

強証拠であり、また金銭奪取の点についても、右証言記載のほか、右Bの各供述調

書によれば、この点の第一審認定事実が架空のものでないことをたしかめることが

できるから、補強証拠があるものといわなければならない。従つて、所論憲法三八

条三項(刑訴三一九条二項)違反の主張は、その前提を欠くものであつて、採用で

きない。

二、記録を調べても、被告人及び第一審相被告人等の所論各供述調書中の自白が、

取調官の強制、拷問、脅迫に基くものであり、又は任意にされたものでない疑のあ

るものであると認めるべき根拠はない。それゆえ所論憲法三八条二項(刑訴三一九

条一項)違反の主張は、その前提を欠くものであり、理由がない。

三、被告人及び第一審相被告人等の各供述調書中の自白について、その任意性に

疑があると解すべき根拠のないことは、前記のとおりであるから、その任意性に疑

のあることを前提とするかぎり、所論はその前提を欠くものといわなければならな

い。そして、共同審理を受けた共同被告人の自白が、相互に他の自白の補強証拠と

なりうるものであることは、当裁判所不動の判例なのであつて(昭和二三年(れ)

七七号同二四年五月一八日大法廷判決、集三巻六号七三四頁参照)、所論はいずれ

の点でも採用できない。

四、所論の理由のないことは、前各項で説明するとおりである。

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第二点

所論中憲法三八条違反の主張が理由のないものであることは、前記のとおりであ

り、その余の所論は単なる法例違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

のみならず、記録を調べても、原審の事実の判断に所論のような事実認定上の違法

があるとはいえない。

第三点

所論中憲法三八条違反の主張が採用できないものであることは、前記のとおりで

あり、その余の所論は事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

第四点

量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

第五点

一、憲法三七条二項は、被告人に反対尋問の機会を与えないで取り調べられた被

告人以外の者の供述録取書類を証拠とすることを絶対に禁ずる趣旨を含むものでは

なく、被告人以外の者の公判廷における供述と当該公判廷外の供述とのいずれを措

信するかは、事実審裁判所の裁量にゆだねられているものであることは、当裁判所

のくりかえし判例とするところであるから(昭和二三年(れ)八三三号同二四年五

月一八日大法廷判決〔集三巻六号七八九頁〕、昭和二四年(れ)二五二七号同二六

年七月六日第二小法廷判決〔集五巻八号一三九五、一三九七頁〕参照)、所論違憲

の主張は採用できない。

二、三、

事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

なお記録を詳細に調べても、本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由は認めら

れない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

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昭和二九年九月二八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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